安倍政権1年の11政策分野の実績評価は2.7点(5点満点)

2013年12月20日

総論

 言論NPOは12月26日に安倍政権が1年を迎えるにあたり、選挙でのマニフェストや国会での演説で約束したことについて、この1年でどのような成果を出したのか、実績評価の結果を公表しました。

 これらの評価には言論NPOのマニフェスト評価会議の約30氏の研究者が参加し、経済政策、安全保障など11分野70項目の実績を5点満点で評価しました。また、これとは別に約2000人の有識者に、安倍政権の実績評価のアンケートを行い、447人が回答しました。このアンケート結果も今回の評価の参考にしました。

 この間、日本では第一次安倍政権以降、6人の首相が在任約1年の短命政権となっており、2年目を迎えるにあたって、1年目の実績評価を行うのは第二次安倍政権が初めてとなります。 安倍政権の1年目の実績評価は11分野の平均で2.7点、そのうち最も高いのは復興・防災、農業分野の3.3点で、最も低いのは憲法改正の2点でした。

 言論NPOでは今年7月の参議院選挙時に、安倍政権の実勢評価を実行していますが、その際の全体評価と比べて0.1ポイントの低下にとどまりました。依然高い評価になったのは、安倍政権が様々な分野で積極的に取り組んでいるからですが、各政策で評価が分かれたのは、安倍政権は1年を迎え、それぞれの分野で成果が問われる段階にきているためです。

 今回、安倍政権の目玉事業であるアベノミクスを要する経済政策の評価は3.2点と参院選時の3.7点から評価を下げましたが、これは異次元の金融緩和や公共事業等の公需から民需へのバトンタッチの姿が見えず、経済の本格的な回復がまだ始まっていないからです。異次元の金融緩和と弾力的な財政運営で経済のマインドに明るさが戻りましたが、設備投資や賃金の拡大にはまだ至っていません。その中で、2年後に2%の物価目標の達成に「黄色信号」がともり、公需依存の時間稼ぎが、逆に財政再建の道筋を見え難くしています。
 復興や減反を打ち出した農業政策は評価を高めましたが、社会保障や地方の政策については力点が置かれていないことが分かります。

 ただ全体的に自民党のマニフェスト自体が約束として不完全で、それぞれの分野で将来像や理念に基づいた政策体系がまとまっていないことが、実績評価にも負の影響を与えています。全般的に説明不足が問題視されており、特定秘密保護法のように公約に書かれていない問題については国民に対する説明責任が問われました。

 なお、今回の評価は、2012年末の衆議院選挙で自民党が掲げた政策BANKの169項目から、参議院選挙時の公約、Jファイル、安倍総理の所信表明・施政方針演説なども踏まえながら、政策として評価できる11分野、70項目を抽出しました。それらの項目ついて、個々の政策が、その目的を実現する方向でどのように取り組み、動いているのかについて判断しています。
 また、今回の評価には、言論NPOのマニフェスト評価会議から、湯元健治(日本総合研究所)、西沢和彦(同)、鈴木準(大和総研)、内田和人(三菱東京UFJ銀行)、神保謙(慶應義塾大学)、川島真(東京大学)、田中弥生(大学評価・学位授与機構)、山地憲治(地球環境産業技術研究機構(RITE))、松下和夫(京都大学名誉教授)、小峰隆夫(法政大学)、小黒一正(法政大学)等30氏が参加しました。



各分野の点数一覧

安倍政権通信簿は2.7点(5点満点)
経済再生
財政
復興・防災
教育
外交・安保
社会保障
3.2
経済再生分野の評価詳細をみる
2.7
財政分野の評価詳細をみる
33.3
防災・復興分野の評価詳細をみる
3
教育分野の評価詳細をみる
3.1
外交・安保分野の評価詳細をみる
2.3
社会保障分野の評価詳細をみる
エネルギー
地方再生
農林水産
政治・行政改革
憲法改正
2.6
エネルギー分野の評価詳細をみる
2.2
地方再生分野の評価詳細をみる
33.3
農林水産分野の評価詳細をみる
2.7
政治・行政改革分野の評価詳細をみる
2
憲法改正分野の評価詳細をみる

実績評価は以下の基準で行います

・未着手
・着手後、断念したが、その理由を国民に対して説明していない
0点
・着手後、断念したが、その理由を国民に対して説明している
1点
・着手し、一定の動きがあったが、目標達成はかなり困難な状況になっている
・政策目標を修正した上で着手したが、その修正理由を国民に説明していない
2点
・着手し、現時点では予定通り進んでいるが、目標を達成できるかは判断できない
・政策目標を修正した上で着手したが、その修正理由を国民に対して説明している
3点
・着手し、現時点では予定通り進んでおり、目標達成の方向に向かっている
4点
・この一年間で実現した。もしくは実現の方向がはっきりと見えてきた
5点

原則として、マニフェスト等に具体的な政策の記載がある場合のみ採点するものとします。 しかし、特例として、記載がないにもかかわらず施策を動かした場合、以下のように採点します。
なぜ実施に踏み切ったのか、その理由について国民に対する説明をきちんとしていれば各項目で1点加点するものとします


マニフェスト等から理念は読み取れる場合

・着手し、現時点では予定通り進んでいるが、目標を達成できるかは判断できない
1点
・着手し、現時点では予定通り進んでおり、目標達成の方向に向かっている
2点
・この一年間で実現した。もしくは実現の方向がはっきりと見えてきた
3点

マニフェスト等から理念も読み取れない場合

・着手し、現時点では予定通り進んでおり、目標達成の方向に向かっている
1点
・この一年間で実現した。もしくは実現の方向がはっきりと見えてきた
2点