まず代表工藤は、先日言論NPOが公表した「野田政権の100日評価」の有識者のアンケートでは、既存政党にはこれ以上期待できないという声が6割を超え、こうした状況を打開できる主体として、有権者と若い政治家、への期待が半数を超えていた。こうした有識者の期待が正しいのか、間違っているのか、若手政治家の皆さんと議論していきたい」と述べ、今回は①若い政治家の力で現在の政党政治の混迷を変えることはできるのか、②すでに信頼を失っている民主党と自民党を立て直すことは可能か、③今の政治家がこの国の課題解決に取り組まないのは何故か、などについて突っ込んだ議論が行われました。

まず、先の有識者アンケートで「若い政治家」に期待が多かったことについて、自民党の平氏は「小選挙区では多くの支持を得るために独立性が高まり、自分の判断で行動し、発言する議員が増えてきている」と指摘し、民主党の森山氏は「若手は、ベテランの政治家と比べて、これまでの政界や党の支持基盤に縛られていくことが少ない、それが可能性と感じられているのでないか」と述べました。
これに対して工藤は「若手は選挙に弱いため、大衆に迎合するだけで、自分の見解を積極的に発言し、国民を説得する、という役割を果たせないのではないか」と質問。これに対しては、平氏は「小選挙区では既得権益を持つ団体だけフォローしていても当選できない。そこで制約されるよりも自由に発言できる議員の方が強い」と述べ、梅村氏は「一度過去にやったことを時には否定する場面が出てきたときに、そこできちんと線を引けるかどうか。ここに若手とベテランの大きな違いを感じる」と答えました。
また、「若手は、しがらみがなく活動できるというが、すでに民主党、自民党も信頼を失っている、若手は存在感を示せていない」と代表工藤が問うと、梅村氏は「民主党は党内融和を優先する際に年功序列に偏り過ぎた点はあり、それが活力をなくしてきている」と指摘。西村氏も、「自民党は全体として頭でっかちになっている部分はある。若手の出番は出てきてはいるが、全体の意思にはつながるかどうかがこれからの課題だ」と述べ、各党ともに、党内の組織固めを優先していることが、党内の活力を失っていることを示唆しました。
次に代表工藤は、「民主党も自民党も政策を軸にまとまっておらず、党内対立のために意思決定できない。つまり烏合の衆の状態で、これでは組織政党とは言えない」と現在の政党政治の問題点を指摘しながら、いまの政党を変えることができるかについて迫りました。
森山氏は、「大きな政策で党内がまとまらず、合意をすることが難しい」と、党として政策をまとめ上げていく仕組みが脆弱な事情を説明し、梅村氏は、「政党が人材育成機能を持ったうえで小選挙区を導入しないと、「反与党」「反権力」というだけでどんどん政権交代が起こってしまう」と述べ、まずは政党の人材育成機能強化が不可欠との見解を示しました。
これに対して自民党の西村氏は、「民主党は党内をまとめるシステムがなく、閣僚やトップが好きなことを言っていることが問題。一方の自民党は、調整過程がしっかりできているのだが、そこでなかなか意見がまとまらず、思い切ったことができない」とそれぞれの問題点を明らかにし、「党内でいかに早く意見集約して大きな方向性を決め、それをトップが示すかが重要」と、党内ガバナンスの重要性を指摘しました。また平氏は、「党内団結を優先する谷垣さんを総裁選で選んだ時点で、大きな組織改革はできない」としたうえで、「リアリティのある政策パッケージとビジョンを出し、その競争が始まらなければならない」と述べました。梅村氏もその点には賛同し、「そのときに若手が手を取ることが必要で、そのためも、きちんと議論する場を普段から持っておくことが必要だろう」と語りました。
次に、日本が岐路に立ち、答えを出さなければならないときに、「日本の政治家は本当に課題解決ができるのか」という論点をめぐって議論がなされました。代表工藤が「なぜいまの政治家は結果を出すことができないのか」と問題提起すると、西村氏は一つの要因として、政策に関わる人材層の厚みがない点を指摘。政党助成金を活用してでも、政策秘書をはじめとするスタッフの機能強化などを図らないと、「政策本位での勝負にはならない」と強調しました。一方の平氏は、「国家をマネジメントする観点から、マクロで見る司令塔が不在」であることが課題解決できない大きな要因とし、そのためには仕組みと人材の双方が不可欠としました。
工藤はその後、「民主党は国家を運営する自信があるのか」と本質的な問題に迫りました。これに対して梅村氏は、「いま日本が持っているパワーを(政治が)ダムのようにせき止めている感はある」と自身が抱える危機感を率直に語り、そこへの対応が急務だとの認識を示しました。
最後に工藤は、これまでの議論を総括して、「民主党と自民党は本当に変われるか。もうそこから脱出したい、と思わないか。率直に伺いたい」と尋ねました。これに対しては、「今の政党の中で、小選挙区制度の下で一翼を担う政党として自民党が比較的マシだと考えている。自民党と乗っ取って変えていくというのが、一番リアリティのある処方箋だ」(平氏)、「多様な人材の中で、若い世代が力を付けていけば、自民党が変わるチャンスはあると思う。最後まで頑張りたい」(西村氏)と述べ、森山氏は「二大政党では、両方とも良くならないと、課題解決にはつながらない」との考えを強調しました。そして、梅村氏は、日本の政治が課題解決に向かうためには、「政治家個々人が自分の能力を伸ばして、価値観を磨いて、知識を増やして、闘う術を身につける努力をするのが重要であり、政党はその結果だ」と述べ、「一人ひとりの政治家が有権者の期待に応えて成長を続けていく。このことに尽きる」と語りました。
言論NPOは今後も、「強い民主主義」をつくり出すため、こうした政党政治や民主主義そのものの問題についても、議論を深めてまいります。どうぞご期待ください。
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第1部:若い政治家の力で現在の政党政治の混迷を変えることはできるのか
工藤:こんばんは、言論NPO代表の工藤泰志です。さて、言論NPOでは、私たち有権者が考えないといけないことを、みなさんと一緒に考えようということで、この言論スタジオを行っています。今日は、日本の政党政治を考えるということで、自民党と民主党の若手4人の方に来ていただきました。
もともと、この議論をなぜ行うことになったかというと、私たちがこの前、野田政権の100日評価をやったときに、有識者アンケートで、日本の既成政党に対する失望がかなり強かったんですね。これは日本の政党政治というものが今問われているな、と考えたので、今日は4人の方に来ていただいて、本気の議論をしたいと思っているところです。
では、早速今日のゲストを紹介します。まず右側から、民主党の参議院議員の梅村聡さんです。そのお隣が、同じく民主党の衆議院議員の森山浩行さんです。今度こちら側が、自民党の衆議院議員の西村康稔さんです。そしてそのお隣が、自民党の衆議院議員の平将明さんです。よろしくお願いします。
さて、早速、議論を始めるのですが、実は先ほど説明した100日評価のアンケートというのは、野田政権の評価それ自体は厳しかったんですが、それ以外に、日本の政治の状況をきちんと考えようという結果もかなり厳しかったんですね。例えば、日本の選挙があったときにどこの政権になるだろうということで、有識者500人くらいが回答したものでいうと、驚いたことに、野田政権の継続を予想したのは5.3%しかいなかった。自民党への政権交代は、6.2%しかなかった。その大多数が、政界再編か、日本の政治が混迷に入る、つまり、既存の政党では駄目だと思いながら、展望が見えないからどうしたらいいか、というところにあるんですね。ただそのときに、では、この問題を誰が打開できるんだ、と。当然、私はその答えは「有権者」だと予想しました。結果は、55%くらいが有権者が大事だと答えたんですが、それと並んで回答を集めたのが、「若い政治家」だったんですね。その若い政治家というものの定義はよくわからないのですが、なぜ若い政治家に期待があったのかというところを僕も知りたいので、そのあたりを今日は話していただこうと思っております。
まず、この結果と、若い政治家が期待されているということはどういうことなのか、それぞれお話しいただけますか。
若手政治家に対する期待は、どこから来るのか
梅村:この結果を、方程式を解くように考えると、政界再編を期待しているというこれだけを取ると、政党がガラガラポンをすることを期待しているように見えるんですが、実はこれは、政党という機能というか、仕組み自体に限界を感じているのではないかと思います。仕組みとして、では何に不満があるのかといえば、結局最終的には能力のある政治家が出て、能力を発揮しないと、社会の問題解決にはならない。そういった能力をきちんと評価できない今の既成政党に対する不満があって、それは今しっかり表に出ていない政治家の中に、そういったことができる有能な政治家がいるのではないか。今、政党というのは程度の差はあれ年功序列的なところがありますから、そういったことに対する限界を、有識者の方は感じておられて、だからこそ政界再編を期待して、一方では若い政治家に期待する、という2つの答えになるのかな、と私は感じています。
工藤:わかりました。では西村さんはどうですか?
西村:はい。小選挙区制度を導入しまして、二大政党制というものを考えたときに、これは、まさに政権交代の実現によって我々は野党になってしまったわけですけれども、政権交代時、民主党は輝いていたわけですね。ところが、だんだんだんだん、民主党は駄目じゃないか、となった。もし民主党が良い政策を、本当に矢継ぎ早に実現をしていれば、民主党に対して自民党は変わらないといけないということで、もっと改革を進められたと思うんですね。ものすごい危機感がありましたから。「もう俺たち、15年くらい政権政党に戻れないんじゃないか」という危機感がものすごく強かったです。だから、その危機感が改革のバネになっていたんだと思いますけども、残念ながら民主党がものすごく堕落をして、めちゃめちゃになってしまって。
工藤:そうすると、たるんでしまったということですか?
西村:ええ、それを受けて我々の方も、改革をしなくてもいいんじゃないかという雰囲気が、油断がものすごく出てきてしまったんですね。だから二大政党は、お互いに切磋琢磨して良い方向にずっと行くんでしょうけど、残念ながら片方が駄目になるともう一方も駄目になるという、ものすごく典型的な例ですね。
そんな中で、本来、我々若手が期待されているし頑張らなければいけないわけですが、それはやっぱりしがらみが少ないし、毎週地元に帰って、現場の有権者の声を一番よくわかっている、肌身に感じてわかっているのが我々だと思いますので、それを実現してくれるという期待感も、たぶんあるんだと思うんですね。長老の先輩の方々は、帰られる方もおられるかもしれないですけど、そんなに毎週帰っているわけではないですから、我々のようにずっと歩いてやっているわけではないでしょう。そういう意味で、そこへの期待感はあるんだと思うんですけども、残念ながら油断していることプラス、二大政党で、小選挙区で、党代表でやるわけですから、選挙が近づいてくるとなかなか思い切ったことが言えないというこの小選挙区制の弊害みたいなのが出てきている。いま若手が頑張らないといけないんだけれども、もがいているような状況なのが現状じゃないかと思います。ただ、しがらみはないし、本来我々がもうちょっと勇気を出してやらなければならない場面に来ているんだと思いますので、ぜひ頑張らなければいけないと思います。
工藤:今の話を聞いてちょっと思ったんですけど、若い政治家だったら何ができるんですか。つまり、今の状況に対して実際に何かができるんでしょうか。森山さん。
「しがらみのない」若手は、ベテランと比べて何ができるのか
森山:おそらく、若いということに対して期待をいただいているのは、これまでの政界のしきたりであるとか、これまでやってきたこと、これまでの発言、こういうものに、自分自身が縛られていくということがベテランに対して少ないのではないか。これが期待ではないかと思うんですね。ベテランの人が、これまで言ってきたこと、やってきたことを、自己否定しながら変えていくんだということになると、高いハードルがあるけれども、政治を変えたい、またあるいは政策を変えたいという形で、若い者が次に出てきますから、むしろ年齢的な若さというよりも、期数という意味での若さについて、期待をいただいているんではないでしょうか。
工藤:そうですか。それは平さんもどうですか。何が違うんですか。若い人は、変えられますか?
平:一つは、やはりしがらみがないことだと思うんですね。これから政治が対応していかなければならないテーマを見ると、民主党にしろ自民党にしろ、いわゆる後援組織、非常に強力な後援組織と、利害が相反することがたくさん出てきますね。ただ、ベテラン議員でもずぶずぶになっている人はそれはできませんね、というのは当然あると思います。
あと我々は、やはり若い議員に期待をするというのは、政治は結果責任なので、この失われた20年、自民党は方向転換できませんでしたね。結果としていろんな歪みが出て、民主党にやってもらいました。そして、失われた20年の中のさらに超失われた2年になっちゃいました。ですから、この主たる担い手はもう駄目ですねと。最近の菅さん、鳩山さんを見ても、田中防衛大臣を見ても、当選回数が多ければ優秀かといえば、逆に全くそうではないということが明らかになっているわけですから、ここはしがらみがない若い政治家が活躍をするだろうということでしょう。
あと、これは自民党にも大きな変化がありまして、ほとんど派閥が機能してませんから、先輩議員の顔色をうかがうという必要はまったくありません。私も無派閥ですけども、何の問題もありません。あと小選挙区になって、派閥対派閥ということもなくなりましたので、要は正論を言って小選挙区で勝ってくればいいだけなので、そういった意味では、独立性が高くなったと思います。よくベテラン議員が、中選挙区から小選挙区になって、政治家が小者化するって言うけど、そう言っている本人のほうがよほど小者だったりするわけで、やっぱり選挙区が変わって、マインドが変わって、自分の判断で行動できる、発言できる議員が増えてきているんではないかなという気はします。
基盤の弱い若者に、国民を説得する役割が果たせるのか
工藤:しがらみという話でちょっと一般の人にわかりにくいんですが、一方で選挙が弱ければ、自分の思っていることを言えなくて、やっぱり一般の雰囲気、世論ではなく雰囲気に迎合してしまう。つまり、決断で国民を説得できるようなことが言えないというのがありますよね。それは若い人達はそういうことでは選挙で弱い人が多いじゃないですか。それは特に民主党、どうですか?
梅村:私はこの中で唯一参議院議員なんですよ。それで、私がたぶん過去の衆議院に近いと思うんですね。中選挙区制の任期は6年ということからいえば、たしかに選挙が近づいてくれば、思い切ったことが言えないという傾向が特に地盤の弱い方というのが、そういう傾向が強いのかな、ということはあります。それで、しがらみというのが何かというと、結局、先ほども森山さんもおっしゃいましたけども、一度過去に自分がやったことを、時には否定するという場面が出てくるんですよね。そうすると、そこはものすごく自己矛盾に陥る。いろんな税制にしても予算にしても、そこのところをきちんと線を引けるかどうか、これはやっぱり若い人とベテランの人との大きな違いとして感じますね。
平:工藤さん、ちょっといいですか。選挙制度で、小選挙区になったので、結局半分とらなければいけませんねと。中選挙区のときは、その既得権益を持っている人の、ある一定数支持をしてもらえれば、当選できるんです。小選挙区は、そこだけフォローしていても、当選できない。ですから、無党派といわれる人達の支持も得なければいけないんです。ですから相対的に、そういう既得権益の団体の影響は、逆に減ってるんだと思うんですよね。
工藤:そうですか。よく数%で勝ち負けが決まるとか、最終的には一人なので、そのとき意外に支持基盤のあるほうが発言力が逆に増したとか、そういうことはないですか?
平:都市部はですね、要は票の積み重ねではないですよ。だから1つ1つの団体に制約されるよりも、自由に発言できる議員の方が、強いと思います。
工藤:本音ベースに近づけたいので、たとえば、昔の小泉さんのときも同じようなことがあったけど、民主党も政権交代でかなり多くの人が出ましたよね。そういう人達は、非常に、僕たちが見ていると右往左往しているように見えちゃうんですよ。選挙が近づくと。自民党も、新しいそういう人達ができているんだったら、なぜ今の民主党に対抗して、政策の課題解決を一本に絞って、大きく変化のドライブがかからないんだろうかと。
西村:彼は東京の大都市の選挙区で、私は田舎とわりと大きな都市が両方混じっているところなんですけど、得票は民主も自民も変わらないと思うんですけど、まずそれぞれの党の基礎票があって、どんなことがあっても自民党が好きだとか、どんなことがあっても民主党が好きだとかという基礎票があって、これはたぶんそんなに動かないですね。プラス、個人の基礎票があって、これは党関係なしに西村が好きだとか梅村さんが好きだとかそういう人がいる。あとは党の浮動票と、そのときの党のイメージで、民主党はやっぱりいいな、自民党は小泉さんでいいな、といった党の浮動票があるんです。プラス、個人に対する浮動票。自民党は駄目だけど、西村さんが好きだ、もともと好きだっていう人じゃないけども、毎日駅に立ってるからいい、という、この4層の人がたぶん入れてくれると思うんです。
それで、いま我々は小泉チルドレン、彼は選挙に勝ってきてますけども、選挙運動しない人たちは、党の基礎票の部分に頼って、党を支援する団体の言うことばっかり聞いていたってそこしか増えないし、それはぜんぜん新しい政策が打てないわけですよね。そこを説得もしながら、自分の個人後援会も作り、個人の浮動票も取ってくる、という努力をしないと、この4層を積み重ねて、過半数を取れないですよ。たとえば、私は田舎で淡路島で農業と漁業しかないようなところですけども、TPP賛成でやってます。これは地元では農協の人とか漁協の人とかにちゃんと話をして、理解をしてもらいながら、もちろん全員が全員理解してくれているかどうかわかりませんけども、でもやっぱりそういう努力をして、自分は正しいと思うからやる、という、自民党の基礎票であるコア層に対してもやっぱり自分の主張をしていかないと、ぶつけていかないと駄目なんですね。そういう努力が足らないんじゃないかなと思います。
党内融和を優先するあまり、民主党は年功序列に偏りすぎた
工藤:なるほど。つまり、そこが今度、党というものをどういう風に刷新できているかという問題になってくるんで、実をいうともう1つ、今日ですね、緊急にみなさん来られるというので、アンケートをしたんですね。これは、「あなたは、日本の現状の課題とこれからの未来を考えて、民主党と自民党という2つの政党にそれぞれ期待できますか」、ということで、「民主党、自民党ともに期待できない」が66.2%。民主党は期待できるけれども自民党は期待できないとか、自民党は期待できるけど民主党は期待できないとか、あるんですね。そういうことで民主党は期待できないというのが、併せると78%、自民党は73.4%なんですよ。ちょっと自民党が勝つんですが、ただ基本的に7割以上が、党として期待できないということと、いま若い政治家がしがらみなくやっている、できる、ということとのギャップがあるんですね。これについてはどう思われますか?
平:これはですね、若い人はしがらみはないんですよ。じゃあ何で自民党は変わらないかというと、見てもらえば簡単で、若い人がいないですよ。今回勝ってきたのは、おじいちゃんと地方出身者だけ。だけとは言いませんが、比率が急激に増えたんで、思い切った党改革ができていないということです。
工藤:すみません、その場合のおじいちゃんの定義というのは何歳くらいのことを言っているんですか?
平:おじいちゃんは中選挙区世代。
工藤:ああ、そういう世代ということですか。
梅村:民主党で言えば、やっぱり党内融和ということを言われましたよね。やはりそれによる、少し年功序列に偏りすぎたという点は僕はあると思っています。そのことがやはり党の活力を無くしてきている。プロ野球のチームで、入団の年順に打順組んで野球をやったら、それはなかなか厳しいものがありますよね。だから両方いるんです。両方いるんですけど、少し年功序列側に偏りすぎた、党内融和がありましたから。そこがちょっと今偏りすぎているところに、民主党の少し弱点が出てきていると、そう思っています。
森山:もともと私は地方議員を無所属でやっていたんですね。何かというと、政党が、中央国会議員のためのものであるというのが非常に大きくて、公明党・共産党の党員さんのほうが、自民党・民主党の党員さんよりも多い、という状態なんですね。このあたりのところで、我々のいうことをわかってくれない。というような感覚も多いんじゃないかな、と。
工藤:そうですか。一言、どうですか?
"曖昧戦略"で失われた自民党のビジョン
西村:民主党はさっき言ったようにもう駄目になってきたんで、自民党は別に自分たちの態度をはっきりしなくてもいいんではないかという、そういう曖昧戦略みたいなのがあってですね。
工藤:本当にそれはあったんですか?
西村:いやもうそれは、TPPも、賛成も反対も両方あるから、どっちかよくわからないし、消費税もやる、と自分たちが言い出しっぺでありながら今、賛成か反対かわからないような立場ですから、そういう曖昧戦略みたいなところがもうまったく、自民党はどういうビジョンなのかわからなくなっているところだと思いますね。
工藤:それは戦略ですか?それとも構造ですか?
西村:それはまあ、執行部の判断なんですけども、我々は賛成でいこうとかですね、いろんなことを提案していますけども、それは全体的に頭でっかちになってしまっていますので、若手がもっと勇気出せ、という部分もありますけども、全体としてはそういう雰囲気ですよね。
工藤:自民党の中に、そういう変化の兆しはあるんですか?
西村:予算委員会とか、いろんな委員会で若手が、私もやりましたし平さんもやったり、いろんな機会や出番が増えてきているのは事実ですけども、それが全体の意思になるかどうかというところは我々の力がまだ足らないところはありますけど、そこが課題ですね。
工藤:わかりました。それでは次は、今の有識者の意識をどう変えるかということを議論してみます。
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第2部:すでに信頼を失っている民主党と自民党を立て直すことは可能か
工藤:次は、自民党と民主党そのものが本当に変われるのか、ということです。僕たちはかなり厳しいと思っているのですが、1月の有識者アンケートでは、既存政党に不信があって政界再編を求める声が圧倒的だったんですね。でも、民主党、自民党ですから、今大きいのは、そこが不信を乗り越えて党を刷新できるのか。「再び期待を集める政党に戻れるのか」ということで、今回アンケートで聞いてみました。すると今日現在では、民主党、自民党も無理なのが47.8%。民主党は可能だけど自民党は無理とか、自民党は可能だけど民主党は無理とか言うのがありますが、それを見ると、基本的に民主党に対して厳しい見方になっている。それは期待があったからかもしれませんが。実際には、民主党はこれ以上無理だと、政党そのものに期待できないと思っているのが6割を超えている。でも自民党も無理なのが5割を超えているんですね。
この問題なのですが、では、皆さんの力で党を変えられますか。もう無理なんだったら、党を脱出した方がいいのか、どういう風に考えているのか。
政党の人材育成機能がないところに小選挙区が導入されたことが、混迷の始まり
梅村:このアンケート結果でわかることは、私は自民党の問題点と民主党の問題点は根底ではつながっているというか、一緒の課題を抱えていると思っているんですよ。というのは、2009年の政権交代の選挙で、結局、民主党はどういう候補者が当選されたのか。
「反自民」であれば、言葉は悪いが誰でも良かったわけです。あるいは今の状況を見ると「反民主」、民主がどうしようもないということで自民党の候補者の方は活動ができる。これが繰り返している限りは、この結果は変わらない。
つまり何を言いたいかというと、結局、党が人材育成機能、党としての考え方、綱領の問題もありますが、そういったものをきちんと候補者の方なり政治家に伝え、育てる、そういった機能を持った上で小選挙区を導入しないと、「反与党」「反権力」という形でどんどん政権交代が起こっていく。だから、政党が、先ほど小選挙区制度は政党同士の戦いというお話があったが、そこで戦う候補者が、その政党の考え方や基本的な思想を反映できる、そういった仕組みがないままに小選挙区を導入したところに、混迷の最初のスタートがあって、そのことが結果に含まれていると感じています。
工藤:このアンケートは自由記述になっているんですが、少し紹介します。「政党が烏合の衆になっている。何のために存在して何を実現しようとしているのか分からない」。よく見ていると党内で色々な反対をしているし、その反対の声の中で政策決定ができないとなると、意思決定ができない組織は意味がないじゃないですか。そういう風に見切られてしまっている感じなんですよ。
梅村:小選挙区制度と政党の人材育成機能はセットなんです。どっちがかけても、二大政党なり政権交代の意味というのはなくなってしまいます。
工藤:民主党で綱領を作るというのは止まってしまっているのですか?
梅村:止まっています。
工藤:ですよね。そういうところから始めないといけない感じもするんですが。
政党のガバナンスをいかに機能させるのか
平:梅村先生がおっしゃるような高尚なお話の以前に、社会の変化に対応できなかった自民党があって、そのあと出てきた民主党が、これは誰が見てもありえないマニフェストを出したわけですよ。もう桁の違いも分かりません。5兆と10兆の違いも分かりませんと。これはもう信用されないですよ、詐欺ですから。詐欺か嘘つきかバカ。反省してもらわないといけない。
その上で、統治です。政党のガバナンスができていません。ですから、政党法を作るという話もあるし、それをつくらないまでも、本来は、リアリティのあるマニフェストをしっかり出すことが第一歩だと思います。
そしてそのリアリティのあるマニフェストをどう出すかということですが、やっぱりマニフェスト型代表選とかマニフェスト型総裁選をやって、政策本位で集約して政界再編をやっていくしかない。だから、誰なら勝てそうだとか、この派閥とこの派閥が一緒になると過半数だということをやっていると、なかなかガバナンスは取り戻せません。
いま政党は部族連合といわれていますよね。それを近代国家にしなければならない。これに尽きると思うので、これは政党法を入れるというやり方もあるだろうし、マニフェスト型代表選、マニフェスト型総裁選で党を割ることもいとわないというようなやり方をすればスムーズに行くと思います。
工藤:先ほどの自由記述を紹介させてもらいます。自民党もどうなるのか厳しい視点で見られていることを知ってほしいのですが、40代会社員の方で「民主党は党内対立が解消されるとは思えない。自民党はなぜ野党になったのか理解していない」。40代自営業の方は、「行動や発言を見ていると、次回選挙で受かることしか考えていないのではないか。それを議員本人たちも気付いていると思うが、しかしそれを何も変えられない」と記述しています。また、これは地方公務員の方ですが、「政党ごとに目指すべき方向が示され、それがぶれることなく政策に反映されていく状態であれば、それぞれの政党を評価できると思うが、党首が党内を統率できていない綱領ではそれができないのではないか、評価できないんではないか」。意外に皆さん見ているんですよ。それに対してはどうですか。
党としての政策をまとめ上げる仕組みが脆弱なところに問題がある
森山:たぶん、小選挙区制を導入するときに、野党第一党が何をするのかということがはっきりしていなかったんじゃないかと思います。与党は政権を運営する、それに対して野党第一党はトータルで示してこっちの方がもっといい社会じゃないか、いい政策ではないかとやらなければならないのに、場合場合によって徹底的に抗戦するという戦術をとったり対案路線を取ったり、行ったり来たりする。そうなると、国会の議論はいつ見ても面白くない。民主党が野党の時もそうだったし、今もそういうところがある。
工藤:今の話はわかるんですが、だったら前の民主党も同じで、政権を取ったんだから有権者は課題解決の競争を期待しているのだと思うのです。しかし、民主党も何かしようと思うと結局党内で骨抜きになってしまう。これは自民党と全く同じ状況だけど、こういう民主党は変わらないんですか。
森山:テーマごとだと思います。いま私は水の基本法というのをやっていて、これは超党派でやっているんですが、この問題とこの問題は国の基礎に関わる問題だから一緒にやっていこうということ自体も、その場その場でしかできていない。
工藤:党として政策をまとめあげていく仕組みがまだ弱いと言うことですね。
森山:弱いし、交渉のテーブルも個人的なところで行われている。
民主党は党内をまとめるシステムがない。自民党は調整過程がしっかりしているがために意見がまとまらず、思い切ったことができない
西村:自民党もそうだが、民主党も政策の幅が広くて、双方にそれぞれの主な政策課題に対して賛成、反対、左右がいて、TPPについても両方に賛成、反対がいる。消費税についても賛成反対がいる。まあ自民党の場合は反対は少ないですけれども。
工藤:TPPは少ないんですか。
西村:賛成、反対います。若干反対の方が多いと思いますが、今の段階では。民主党はこれは真っ二つに割れている。消費税は自民党は反対は少ないですけれども若干います。集団的自衛権でも安全保障でも民主党はきっと真っ二つに分かれるし、自民党は賛成が多いですけど反対が若干いる。
要は主要政策でなかなかきれいにそれぞれの党がいかないところが、再編しないといけないんじゃないかという声になっているんじゃないかと思います。民主党の悪口ばかり言うわけじゃなくて我々も反省しなければなりませんが、民主党の場合は党内をまとめていくシステムができていなくて、プロセスがなくて問題。閣僚やトップが好きなことをいっている。一方で自民党は、調整過程プロセスがしっかりできているのでなかなか意見がまとまらなくて時間がかかってしまう、ということで思い切ったことができないということだと思います。
一番きれいな解は、再編して、きれいに分かれることだと思います。ただ全ての政策ごとに真っ二つに分かれることは絶対にない。どんな形になっても、党内でいかにはやく意見集約して大きな方向性を決めてそれをトップが示すかということなんですが、自民党は残念ながらできていない。
工藤:野田さんは消費税とTPPの問題で踏み込んだじゃないですか。あれは政界再編の軸になり得るテーマですよね。
西村:なると思いますね。そのときに党がまとめるのかまとまらないのかはっきりしてくれという話ですよ、民主党が。消費税だって、党の案として出してくれれば委員会作って議論します。だけど、党の案としてまとまるかどうかも、反対派がたくさんいて、鳩山さん、小沢さんの二人の代表経験者が反対といっている中で、まとめてきてやるなら、選挙しないと再編にはならないのですが、そこまでやるかどうかですね。
2つの総括をして、結果として変われなかった自民党
平:さっきのアンケートで、選挙向けの発言ばかりしているじゃないかという指摘がありましたが、選挙向けの調子のいいことって言わない方が選挙で強い、ってことにもうなっているとおもいます。そういう政治家ってあんまりいないんじゃないかなと思います。僕は鳩山さんで懲りてます、民主党のマニフェストで懲りてます、と。
自民党はなんで負けたか分かっていないのではないかという指摘がありましたが、これは非常に面白い議論で、わたしは無党派というニューマーケットが広がっているんだから、
そこのシェアをどうとるかと、それは日本の課題解決のマニフェストだといっているわけですね。その反面、お得意さんを粗末にしたから負けたと総括している人もいるわけです。だからこれまで応援してくれた各種団体をもっと手厚くメンテナンスしましょうと。
実は自民党での二つの総括があって、どちらかというと、都市の人たちはグローバルに見ていて、地方の人はローカルな発想が多くて、ローカルで年寄りが増えたのでお得意さんを小泉のときに粗末にしたから我々は負けたんだという総括が多少強いんですよ、党内に。ですから分かってない、僕に言わせれば分かっていないんだけど、そういう2つの総括をして、実際変わっていないというのが現状です。
もう1つ。党内は、谷垣さんがリーダーシップを発揮できればまとまりますよ。ただ、あえてまとめていない。それはなぜかというと、民主党が割れそうだから、何もしない、党を割らないというのが戦略で、そのために政策を集約しないというのが戦術なんで。だから支持率が上がらない。僕はそれがいいとは思っていませんが、やはり野党といえども政策の立ち位置を明らかにしてバンバン発信していくべきだと思いますが、まとめようと思えばまとめられる。
ただし、谷垣さんの総裁選のとき、「みんなでやろうぜ」がスローガンですから、そのときに大きな組織改革はできません。ですから、あの総裁選の時点で谷垣さんには党の大きな改革ができないことは分かっていた。結果として谷垣さんが勝ったので、今日こういう状況になってしまっている。
工藤:それは民主党も同じで、党内融和を優先すると言うことは、党がバラバラになっていくということですよね。それをつなぐことを一番のプライオリティにしたわけで 国が抱えている課題を解決してほしいですよね。何かがここで組織原理を優先しているところに国民の既存政党離れがあると思いませんか。
民主党の「純化路線」が結果として政界再編につながる
梅村:僕は、民主党に綱領がないということ、なにを基軸に集まっているのかどうかが分からないと、そこをまずきちっと、言葉は極端ですが、純化路線。それで軸を作ることが必要だし、それが結果として政界再編という形につながるのが自然な形だと思います。
そのときに、平先生と私の考えが違うのは、小選挙区制度のことなんですよ。たとえば綱領なりなんなりで割れたと、キレイになったときに、同じ選挙区の候補者が同じ側につくということが戦術上できないわけですよね。そう考えると、小選挙区制が足かせになっているところが僕はあると思うんですよ。片一方がAという政党に行ったらもう一人はBに行かないといけない。Aですと言うことはできないんです。小選挙区の良さもあるんですが、そのことが足かせになっていて、その点についても議論が必要だと思う。小選挙区が小物大物ということに加えて、いま限界が出てきていると思います。
西村:たしかに小選挙区制は政界再編が起こりにくいといわれるし、同じ選挙区で戦えないということになるんですが、選挙前はそういう状況なんですね。民主、自民、候補者を決めていますから、なかなかこの状況で再編しろと言うのも難しいと思うのですが、だけど選挙が終わったあとは十分あるんですよね。調整してもいいし。だから、小選挙区で再編がないということはないと思う。
もう一つは、私は、大阪で梅村さんも感じておられると思いますが、維新の会のすごさっていうのは肌身で感じるのです。私は隣の兵庫県ですが。覚悟を決めてやっているし、スピード感をもってやっている。本来我々がやらなければならないことをやられているような感じです。あの刺激が、自民党を再生する刺激になってくれるんじゃないか、これを糧にして改革やろうと思います。ギリギリまで。自民党ダメだと言われていますし、どこまでできるか、我々も若手の力でやって、それから選挙に臨みたいと思います。それがうまくいかなければ再編になるんでしょうが。
リアリティのある政策パッケージとビジョンを出した政党が勝つ
平:先ほどのビジョンの話は全くおっしゃるとおりで、民主党も自民党も示せていない。イギリスはいま強烈な歳出削減をやっていて、2割公務員削減、8%消費税を上げて、その一方で産業はしっかりしなければいけないので法人税を下げて、なおかつその副作用が出てくるから金融緩和をやる。彼ら保守党は筋金入りの小さな政府だから、それはいろんな議論が出てくるけどそれをやりきると。ビジョンとリアリティのある政策パッケージがしっかりできていて、自民党も民主党も立ち位置が分からない。
私は、リアリティがある政策パッケージとビジョンを出した方が勝つんだと思いますので、その競争にならざるをえないんじゃないかと思うのです。
工藤:その競争が必要です。国民との、有権者との緊張感がないとダメだと思うんですが、純化路線は民主党は無理なんですか。
梅村:民主党と言うよりも、今の既成政党が、純化という言葉が過激だったかも知れないが、そうなってきたときに相手とシンクロしながらやらないと、こっちだけがそうなっても意味がない。そのときに若手が手を取るっていったら変だけど、そこできちんと議論する場を普段から持っておくことが重要なことだろうと思いますね。
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第3部:今の政治家がこの国の課題解決に取り組まないのは何故か
工藤:最後は、党なり政党を刷新できるのか、ということを議論したいと思います。皆さんには最後は本音を聞かないといけないと思うのですが、その前にもう1つ最後のアンケートがありまして、「あなたは現在の日本の政治家に、日本のこれからの課題解決で期待を持っていますか」という問いには「全員、あるいはほぼ全員に期待出来ない」が23.5%、「半分以上の政治家に期待できない」が51.5%で、だから半分以上の政治家に対して「この人たちは無理だ、何もできない政治家だ」と考えている人が、基本的に7割を超えているのですね。そういう党内事情を見てどうですか。この人は政治家になるべきじゃないって人いらっしゃるのですか。民主党からどうですか。
多様な人材が政治の世界に入る土壌がない
梅村:言いにくいですけどね。確かに多様な人がいるということは必要だと思うのですね。いわゆる能力とかキャリアとかいうことも大事なのですが、多様な人がそろっていることは重要だと思っています。ただ私が今、深刻に思っているのはですね、例えば政治と関係のない方とお会いして、お話ししますよね。それで、あなたそれだけの見識と能力持っておられるのでしたら政治の世界にどうですか、と声かけるわけですよ。
工藤:みんな嫌がるでしょ。
梅村:そうすると返ってくる答えが、「私は今50代です。政治の世界に行っても一期生ですから、あなたの下で、雑巾がけと委員会の代理出席をやらないとダメなのですよね。50歳まで別の分野で積み重ねてきたキャリアを、はっきり言ってそういうことで今から5年間無駄にするっていることは、自分のキャリアの中でもできないし、そこまでの覚悟は今の政治の世界ではできません」とのことでした。これはニワトリが先か卵が先かみたいな話で、やっぱりそういう方々が入ってくる土壌が、今の政治に無い、と。だから、そこを改革するっていうことは、我々は一番求められているのじゃないかなと。もちろん我々が自分自身の能力を高めていくことは大事なのですけれど、一つはその土壌を変えていくということを考えなければいけないのだと思います。そういうことから考えると、僕は半分ぐらいの人を入れ替えてもいいと、感覚的には思っています。
工藤:入れ替えるのか、半分が減ってもいいということもありえますよね。
梅村:そこは難しいです。イメージとして、半分ぐらいの方が、今と違う感覚なり分野の方というのはアリじゃないかなと思います。肌感覚としてですけれど。
工藤:今の話は結構重要で、僕たちも、先ほどCMに出ていた松井さんも言っているのですが、政治家になる、と言うと、ええっ、政治家になったの?と言うんですよ。よくなったねぇ、って。だってここまで日本がもう、将来見えないような状況で、もう政治家が期待と言うか、尊敬されない状況になっている。では今、そういう状況をどうしたら変えられるのですか。今変えなきゃいけないと言いましたが、アイデアありますか。
これまでのやり方を変えていけるなら、若手の政策集団に意味がある
梅村:それは最初の話題に戻ると思うのですけれど、若手っていうのは何ができるのかと。そういう土壌を変えやすいと思うのですよ。やはり国会というところ、立法府というのはしきたりがすごくありますね。委員会の開き方、法律の通し方、運営の仕方、と。これがやっぱり参入障壁であり、精神的なハードルになっている可能性が非常に高い。そういうものを変えていけるということで言えば、若手の政策集団ということは意味があるのではないですか。
工藤:どうですか、自民党も変えなければいけないというと。
平:私は青年会議所時代、公開討論会をやっていました。ポスターやパンフレットじゃわかりませんね、と。実際にやると、その人の能力とか人柄はなんとなく五感で感じるのですよ。次に何が問題になったかっていうと、入れたい人がいませんね、という話になってくるのですね。
工藤:商品が無いのですね。
平:そしたら次、何やるかと。私もそういう問題意識で政治家になっているのですよ。さっきの話じゃないですけど、会社の経営者か偉い大学の教授か知らないけど、政治に期待していないと。じゃあ、あんた何やるのかと、自分で出てこい、という話なんですよ。自分で出てくるのが嫌だったら、これだっていう政治家を徹底的に応援して下さいね、と。私も根っからの政治家じゃないから、それは名前のたすき掛けてですよ、駅前にいるなんて普通の社会人から見たら罰ゲームですよ、正直言って。それでもやらなきゃいけないと思ってやっているのです。ただそれでも、政治家はアホだ、何もやっていない、という、こういう風潮では、それは政治家にならないですよね。最近子供の「将来何になりたいですか」のアンケートに、5年前から10年前から、政治家という項目が無くなりました。
工藤:項目が無い。
平:項目自体が無いのです。ですから、これは政党としては、やっぱり公募をやって、公開討論会で勝てるようなぴかぴかの候補者を立てていくと。あと、1つ言えることは、有権者のレベルと政治家のレベルはイコールなので、スポーツ選手とか芸能人出すのは、議席取れるからですよ。だから出すのであって、そこでマスコミが機能してないというのなら、有識者の人達がちゃんと判断をして、落とすべき人間は落としてくれ、っていう両方の改革が必要ですよね。
工藤:はい。今の後者の話は非常に重要で、今、私がやろうとしているので、ぜひ協力して欲しいです。政治の改革は有権者が強くならないとできないと思っているので、それは考えます。
今の重要な話からいったん戻って、政治に対して期待が無いのは課題解決をしていないからで、有権者は結果を見ているのですよ。成果を判断している。だから、成果を判断しているところで、じゃあお前やってみろよと企業経営者に言えないので、では、何故結果を出せないのか教えて下さい。消費税にしたって、財政再建にしたって、もうだいぶ前からわかっていたし、つまりこの10年間ぐらいでGDPが減っている間に、借金だけがたくさん増えているわけですから。
政策本意の勝負をするためにも、スタッフ機能の強化が必要
西村:借金が増えたのは我々の責任もあるので、消費税はどこかでやらないといけないと思うのですけれど、まず、選挙が多すぎますよ。毎年、毎年、選挙をやっているのですね。衆議院選挙があった翌年、参議院選挙があって、去年は地方選挙があって、今年衆議院選挙があって、来年参議院選挙。こんな選挙を毎年毎年やっていたら、選挙の対応と目先のことにどうしてもなってしまいますよ。だから、衆議院の選挙は3年か4年に1回、場合によっては参議院と合わせるとか、地方選挙も合わせるとか、「商慣行」をつくるべきです。何らかのことをやらないと、毎年毎年選挙やっていたら、本当に大変で政策じっくり考えて、長期的にものを考えることにならないので、これは是非、こういう慣行を作ったらいいというのが1つですね。
もう1つは、私は政党交付金を無くしてでも、政策をやる秘書の数を増やしてくれと、是非、強く言いたいです。今、秘書に優秀な人がなりたいって言って来ないです。要は、陳情の処理みたいなことを、全く無いかといったらあるのですけど、地元に誘導するとか、就職の世話とかなんとか、そんなことばっかり裏方でやる秘書なわけですよ。そんなの、優秀な大学出て政策やろうって秘書は来ないですよ。いま欲しいのは、そういう政策をやってくれる秘書。社会保障どうするかとか、年金制度何がいいかとか、外交を戦略的にどうやっていくかとか考えようと思ったら、自分ひとりじゃ全部は出来ないですよ。全部一人で出来るだけやりますけど、そういうスタッフを揃えてくれないと。
さらに言うと、その秘書さんも、私にもし万が一何かあった場合に、そのあと路頭に迷うようなことになっちゃいけないので、シンクタンクに行ったり、大学教授に行ったり、国会図書館に行ったりって、そのキャリアアップの仕組みを、いざという時の受け皿になるようなそういうインフラ・人材の厚みを日本はもっと作らないと、政治家が政策本位での勝負が出来ないのだと思います。
工藤:今の、政党交付金を無くしてもいいという話は、私は非常に新鮮に感じて大事だと思うのですが、これは自民党と民主党で出来るのではないですか。
西村:できますよ。是非これは若手で提案して、賛同していただきたい。
平:人件費を払ってくれればいい。
梅村:僕も、政党交付金の使い道を考えた方がいいと思うのですよ。もちろんあれは党に来て、それが分配されるのだけれど。
西村:党にだいぶピンハネされますけれどね。
梅村:正直に言えばね、選挙対策に使われてしまっているのですよ。これは、議員側の意識もあるのだけれど。それは人材育成だったり、さっきのスタッフの部分であったり、そういう機能強化に本来回されなければいけないのが、人で頭で割って、各総支部に入れられていく。だから僕は、政党交付金の使い道のことは、それこそ超党派できちんと議論してね、整理することが必要だと思います。
国家全体をマクロの視点でマネジメントする司令塔が不在
平:何故、問題解決できないか。そこのお話をしたいと思うのですが、議員になって良く分かったのは、各分野の専門家がいるのですけれど、マクロでみている人がいないんですよ。マクロで経営を見ている人が。国会議員というのは取締役なので、経営を見ないといけない。経営者で言えば、損益計算書と貸借対照表と資金繰りを見ないといけない。その観点で、国家のマネジメントを見ている議員がほとんどいないし、出来る人材もいない。それは経営をしたことが無いし、世襲も多いし、役所から来た人も多いから。さっきも言ったように、経営者は馬鹿にしている。え、お前政治家になるの?馬鹿じゃないの?と。そういう風土もあり、人材がいない。これはさっきの話、公募にもかかってきますけど、そういう人材をしっかり入れたうえで、ビジョンもあってリアリティもある政策パッケージをちゃんとマニフェストで出すと。今マクロの指令塔が無いのですよね。歳入歳出は財務省が見ていますけど、経済成長は他が見ていて、金融は金融で中央銀行がやっていて、全体の処方箋を書く司令塔が無いし、それを自分の仕事と思っている政治家も少ないのです。
工藤:今の話なのですけれど、それは10年前に言われるなら私も分かるのですよ。ただ、ここまで危機目前で、それは具体的に何を作ればいいのですか。
平:経済財政諮問会議で、あの時は機能していたんです。小泉さん、中央銀行がいて、竹中さんが事務局をやって。で、そのあと、福田さん、麻生さんになって、やはり人が入れ替わってぐちゃぐちゃになって、あれが格差を生んだからけしからん、ということで今無くなって、マクロな司令塔が今ないのですよ。だから仕組みも大事だし、そこに充てる人材も大事なんだけど、マクロな司令塔はどこの国だってあるんですよ。日本にはない。
工藤:なるほど。どうですか。
梅村:政策の決定過程をきちっと整理することは、僕はものすごく重要だと思っています。これは野田さん個人の責任ではなくて、全体的に今、会議を作り過ぎています。今回も何かできましたね、今日の新聞にもありましたが。
工藤:でも、昔よりは減ったよね。
平:新たに作ったんですよ。
梅村:だから例えば今度、行政刷新会議というのがどういう扱いになるのですか、と。ちょっと変わりますよね、また。だから、そういうところの整理をやっていくということを、野田さんはやらないと会議ばっかり増えていく形になります。
民主党政権は国家を運営する自信があるのか
工藤:率直に聞きたいのですけれど、民主党政権は国家を運営する自信はありますか?というのは、あまりにもいろいろなところに問題があって、出来ないっていうことはありえますよね。つまり、任されたけどやっぱり出来なかった、それとも、出来るために努力したら、何か改善するっている目途があるのか、どうなのでしょうか。
梅村:現状において、運営が出来る出来ないというよりも、今持っている日本のパワーを半減させるというか、せっかくの力をダムのように堰き止めている感はあります。
西村:率直ですね。
平:その通りだ。
梅村:日本のパワー自体が弱っているのかというと、確かに全盛期に比べれば、色々なデータは劣っているのですけど、僕はそこをきちっとしたい。
西村:ここで見るとね、民主党のお二人もそうですし、それぞれは良いのですよ。
工藤:結構、魅力的ですよね。
西村:それで、超党派でいろいろなことやって。去年の再生可能エネルギーも、民主党単独でやっていたのですよ。
工藤:民主党でやっていたのにね。
西村:それを超党派で、うまく自公民でまとめて成案させて、そういう例はいっぱいあるわけですよ。だから、実際に詰めて議論するとちゃんと出来るんですけど、全体として、意思決定がどうなっているのかってあるし、なかなか方向性が出てこない。消費税だって、早く出してくれればですね、特別委員会作って、我々だって協議は逃げませんよ。事前の協議じゃなくて、それは民主党は案まで作って委員会でやればいいのですから、これは早くやった方がいいですよ。
工藤:事前ってまだ出してないんですか。
西村:出してないですよ。法案出てこないですから。党内まとめてから持って来いという話です。
工藤:それは早く出さなきゃいけないですね。ダメなんですか。
森山:早く出すべきです。
梅村:早く出した方がいいと思います。
工藤:早く出せばいいじゃない、ぽんと投げれば。
森山:年末に言ったのが、議員定数の削減と、公務員の総人件費と、これを出して、議論している中で消費税の法案も年度内を目途に出していくという、こういう話で。
平:これもリアリティが無くて、消費税上げて財政再建とか社会保障とか持続可能性を高めましょうね、と。その中で、公務員減らす、国会議員減らすのもいいけど、民主党政権になってですよ、復興財源を別にして、アベレージで歳出が年10兆円増えちゃっているわけですよ。ということは、一円も回らないですよ。だから、なんというか、リアリティの、経営議論のベースが全く出来ていないですよね。
工藤:さっき自民党は、民主党があまりにもダメなので中だるみしてしまったと。では、自民党は消費税を含めて、単純にわかるじゃないですか。一体改革で見てね、今5%がそれでは間に合わないし。自民党は、プライマリーバランスの2020年というのは同じ考えですか。
西村:もともと我々はそれを出していたわけですから。
工藤:すると、それから逆算すると、ある程度もうわかりますよね。
西村:もちろん社会保障をどういう制度設計にするかっていうのはありますよ。経済全体の成長率を見て、どう対応するかもありますけど。
平:マクロの歳出削減をしなくてはいけない。だって10兆円増えちゃったんだから。
梅村:だからやっぱりアセスメントをしないといけないのですよね。問題点があって、データがあって。このデータをどう解釈するかということを言ったうえで、消費税は不退転だって話にしないと。
平:データも各省がばらばらのデータを出すので、例えば韓国の議会はちゃんと整合性をつける事務局があるし、イギリスはイギリスで、ベースになる前提条件を横並びに合わせましょうってところがあるんだけど、日本はバラバラでやっているわけですよ。だから、理性的な、数字をベースにした議論が全然できないんですよ。そこはしっかりやってもらわないと。
工藤:消費税は自民党の考えがあるわけですよね。15年20年に対して。制度設計については、たぶん意見が違う可能性があるのですが。
梅村:僕らから言えば、谷垣さんが、全部持って来いと、相談乗ってやるぞと言われる方がはっきり言って大変なわけですよ。だけど、そうは言わずに、拒否とは言わないけど、社会保障の姿がどうだとか言われるとね。
平:それは悩ましい話でね、税と社会保障でやれと言われてもね、そうじゃないんですよ。歳入と歳出を見なきゃいけないし、さらに言えば、財政と経済を見ないといけないんですよ。そこの、税と社会保障だけ抜き出したのは、政治的に抜き出しただけなんですよ。でも他で整合性がとれなければ、そこだけが正しいからといって乗ったら、詐欺マニフェストの片棒を担ぐことになってしまうわけですよ。それは乗れませんよ。
工藤:たぶん、ある程度の一致できるところで決めた上で、国民に信を問う方がいいと思います。だって無理ですから。全然何をやっているか、国民は分からない状況になっていて、ほとんど絶望に近いと思っている。
西村:何度も言いますけど、我々は逃げませんから。本当に議論をしようじゃないですか、ということなんですよね。だから早く案をまとめて、それがどこまでの案かわかりませんけど、とにかく早くまとめて出してくれれば、我々、おかしいところはおかしいと言いますし、足りないところは足りないと言います。それをちゃんと議論すればいいじゃないですか、と。まとめるにえらく時間がかかっているのかわからないんですけど、中でごちゃごちゃやられているので、早く議論しましょうということです。
工藤:その状況認識でよろしいんですか。
梅村:それは間違いないです。我々も早く決めるっていうことが大事で、それを出していく努力をしなければいけません。
工藤:わかりました。昔、石破さんとかに言われたのですけど、私は政治の世界の中で政界再編みたいな、政策軸をベースにした動きがある程度出来るのかな、と思ったのだけど、たぶん政治の中だけでは難しいだろうと。有権者が何かのアクション起こしていかなければ、ということがあります。
西村:有権者のアクションの1つは、大阪の維新の会に表れたあの結果だと思います。選挙を経てのいろいろなサインはあると思いますけどね。
若い政治家は本当に政党を変えることができるのか
工藤:では、最後の質問なんですが、皆さんは、今の党にいて失敗したなと、何をやってもこの政党じゃ無理だ、という感じですか。それともこの党を今、変えるしかない、という認識ですかね。一人一人お願いします。
平:私は渡辺喜美さんが出ていく時に、出るべきじゃないと、残って自民党を変えるべきだとずっと言ってきた方なので、今の政党の中で、小選挙区制度の下で一翼を担う政党で、自民党が一番、まぁまだ比較ではマシで、自民党を乗っ取って変えてくというのが一番リアリティのある処方箋かなと思います。
工藤:はい。では次に森山さん。
森山:政権交代で、という話で突き進んでいって、その後、苦しんでますけれども、おっしゃったように二大政党ある中で両方とも良くならないと、これは課題解決に繋がらないと。
工藤:では、やっぱり逃げようとか思っていないのですね。まだ無理だとは思っていないのですね。
森山:それは、ここ2年半の中で、最初は議論さえできない状態からスタートしたわけですから。中身も全然見えない状態からスタートしたところが、かなり、議論自体はできるようになって来ていますし、政策で議論できるようになってきています。
工藤:はい。では次は西村さん。
西村: 私は自民党が、やっぱり一番今の政党の中でまともな政党だと思いますし、これまで若い世代が、ニューリーダーとか次の世代が力を付けて、ある意味乗っ取ってきたわけですから、それが今度、我々の世代に期待されているのだと思いますので、それをどういう形で力を蓄えてやるか、というところに来ているのだと思うのですね。もう一つは、瑞々しさ、新鮮さが、自民党に無くなってきていると思うのです。これは2世が多い、官僚出身が多い、私もそうですが、県会議員出身・地方議員出身、この3つで大体8割、9割ですよ。だから、平さんみたいな民間の人も入ったらいいと思うし、NPOから来てもらったらいいと思うし、女性ももっと増えたらいいと思うし、何もわからない芸能人やスポーツ選手が入るよりかは、そういう出来る人たちが入った方がいいですよ。色々な対応の中で、もう少し自民党は変わって、若い世代が力を付けていけば、私はまだ変わるチャンスはあると思うので、最後まで頑張りたいと思います。
工藤:はい。梅村さんどうですか。
一人ひとりの政治家が、有権者の期待に応えて成長を続けることに尽きる
梅村:私の周りだけなのかもしれないですけど、今、有権者の中で、政党を応援してる方って、本当に少ないと思います。党員というものも、本当に自民党さんも激減されていますしね。そういう意味から言えば、逃げるとかどうだとかいうのではなくて、私は政治家個人個人が自分の能力を伸ばして、価値観を磨いて、知識を増やして、闘う術をつけると。この努力を一人一人がやっていくということが重要であって、政党はどうしますかというのは結果だと思うのですね。周りで「民主党だからお前を応援する、自民党だからダメだ」と言われる方が本当に少なくなっているんじゃないかな、と。そういう意味から言えば、今日は政党の話でしたけど、やっぱり一人一人の政治家が、有権者の期待に応えて、成長を続けていく。僕はこのことに尽きるのだと、そう思います。
工藤:今日は政党の問題について、かなり絞って議論したのですが、私たち言論NPOはまさに政策の評価をしていて、本当は政策の議論がいろいろあるのですが、ただ、このままいったら日本の政党は、ほとんど支持を得なくなるような岐路に来ているな、とわかるんですね。答えを出さなければいけない局面が迫っているので、私たちは政策の議論は何でもやりますので、また皆さんと一緒に、色々な形で何かできないかと思っております。
みなさん、今日はありがとうございました。
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2012年2月8日(水)収録
出演者:
梅村聡氏(民主党参議院議員)
平将明氏(自民党衆議院議員)
西村康稔氏(自民党衆議院議員)
森山浩行氏(民主党衆議院議員)
司会者:
工藤泰志(言論NPO代表)
第3部:今の政治家がこの国の課題解決に取り組まないのは何故か
工藤:最後は、党なり政党を刷新できるのか、ということを議論したいと思います。皆さんには最後は本音を聞かないといけないと思うのですが、その前にもう1つ最後のアンケートがありまして、「あなたは現在の日本の政治家に、日本のこれからの課題解決で期待を持っていますか」という問いには「全員、あるいはほぼ全員に期待出来ない」が23.5%、「半分以上の政治家に期待できない」が51.5%で、だから半分以上の政治家に対して「この人たちは無理だ、何もできない政治家だ」と考えている人が、基本的に7割を超えているのですね。そういう党内事情を見てどうですか。この人は政治家になるべきじゃないって人いらっしゃるのですか。民主党からどうですか。
多様な人材が政治の世界に入る土壌がない
梅村:言いにくいですけどね。確かに多様な人がいるということは必要だと思うのですね。いわゆる能力とかキャリアとかいうことも大事なのですが、多様な人がそろっていることは重要だと思っています。ただ私が今、深刻に思っているのはですね、例えば政治と関係のない方とお会いして、お話ししますよね。それで、あなたそれだけの見識と能力持っておられるのでしたら政治の世界にどうですか、と声かけるわけですよ。
工藤:みんな嫌がるでしょ。
梅村:そうすると返ってくる答えが、「私は今50代です。政治の世界に行っても一期生ですから、あなたの下で、雑巾がけと委員会の代理出席をやらないとダメなのですよね。50歳まで別の分野で積み重ねてきたキャリアを、はっきり言ってそういうことで今から5年間無駄にするっていることは、自分のキャリアの中でもできないし、そこまでの覚悟は今の政治の世界ではできません」とのことでした。これはニワトリが先か卵が先かみたいな話で、やっぱりそういう方々が入ってくる土壌が、今の政治に無い、と。だから、そこを改革するっていうことは、我々は一番求められているのじゃないかなと。もちろん我々が自分自身の能力を高めていくことは大事なのですけれど、一つはその土壌を変えていくということを考えなければいけないのだと思います。そういうことから考えると、僕は半分ぐらいの人を入れ替えてもいいと、感覚的には思っています。
工藤:入れ替えるのか、半分が減ってもいいということもありえますよね。
梅村:そこは難しいです。イメージとして、半分ぐらいの方が、今と違う感覚なり分野の方というのはアリじゃないかなと思います。肌感覚としてですけれど。
工藤:今の話は結構重要で、僕たちも、先ほどCMに出ていた松井さんも言っているのですが、政治家になる、と言うと、ええっ、政治家になったの?と言うんですよ。よくなったねぇ、って。だってここまで日本がもう、将来見えないような状況で、もう政治家が期待と言うか、尊敬されない状況になっている。では今、そういう状況をどうしたら変えられるのですか。今変えなきゃいけないと言いましたが、アイデアありますか。
これまでのやり方を変えていけるなら、若手の政策集団に意味がある
梅村:それは最初の話題に戻ると思うのですけれど、若手っていうのは何ができるのかと。そういう土壌を変えやすいと思うのですよ。やはり国会というところ、立法府というのはしきたりがすごくありますね。委員会の開き方、法律の通し方、運営の仕方、と。これがやっぱり参入障壁であり、精神的なハードルになっている可能性が非常に高い。そういうものを変えていけるということで言えば、若手の政策集団ということは意味があるのではないですか。
工藤:どうですか、自民党も変えなければいけないというと。
平:私は青年会議所時代、公開討論会をやっていました。ポスターやパンフレットじゃわかりませんね、と。実際にやると、その人の能力とか人柄はなんとなく五感で感じるのですよ。次に何が問題になったかっていうと、入れたい人がいませんね、という話になってくるのですね。
工藤:商品が無いのですね。
平:そしたら次、何やるかと。私もそういう問題意識で政治家になっているのですよ。さっきの話じゃないですけど、会社の経営者か偉い大学の教授か知らないけど、政治に期待していないと。じゃあ、あんた何やるのかと、自分で出てこい、という話なんですよ。自分で出てくるのが嫌だったら、これだっていう政治家を徹底的に応援して下さいね、と。私も根っからの政治家じゃないから、それは名前のたすき掛けてですよ、駅前にいるなんて普通の社会人から見たら罰ゲームですよ、正直言って。それでもやらなきゃいけないと思ってやっているのです。ただそれでも、政治家はアホだ、何もやっていない、という、こういう風潮では、それは政治家にならないですよね。最近子供の「将来何になりたいですか」のアンケートに、5年前から10年前から、政治家という項目が無くなりました。
工藤:項目が無い。
平:項目自体が無いのです。ですから、これは政党としては、やっぱり公募をやって、公開討論会で勝てるようなぴかぴかの候補者を立てていくと。あと、1つ言えることは、有権者のレベルと政治家のレベルはイコールなので、スポーツ選手とか芸能人出すのは、議席取れるからですよ。だから出すのであって、そこでマスコミが機能してないというのなら、有識者の人達がちゃんと判断をして、落とすべき人間は落としてくれ、っていう両方の改革が必要ですよね。
工藤:はい。今の後者の話は非常に重要で、今、私がやろうとしているので、ぜひ協力して欲しいです。政治の改革は有権者が強くならないとできないと思っているので、それは考えます。
今の重要な話からいったん戻って、政治に対して期待が無いのは課題解決をしていないからで、有権者は結果を見ているのですよ。成果を判断している。だから、成果を判断しているところで、じゃあお前やってみろよと企業経営者に言えないので、では、何故結果を出せないのか教えて下さい。消費税にしたって、財政再建にしたって、もうだいぶ前からわかっていたし、つまりこの10年間ぐらいでGDPが減っている間に、借金だけがたくさん増えているわけですから。
政策本意の勝負をするためにも、スタッフ機能の強化が必要
西村:借金が増えたのは我々の責任もあるので、消費税はどこかでやらないといけないと思うのですけれど、まず、選挙が多すぎますよ。毎年、毎年、選挙をやっているのですね。衆議院選挙があった翌年、参議院選挙があって、去年は地方選挙があって、今年衆議院選挙があって、来年参議院選挙。こんな選挙を毎年毎年やっていたら、選挙の対応と目先のことにどうしてもなってしまいますよ。だから、衆議院の選挙は3年か4年に1回、場合によっては参議院と合わせるとか、地方選挙も合わせるとか、「商慣行」をつくるべきです。何らかのことをやらないと、毎年毎年選挙やっていたら、本当に大変で政策じっくり考えて、長期的にものを考えることにならないので、これは是非、こういう慣行を作ったらいいというのが1つですね。
もう1つは、私は政党交付金を無くしてでも、政策をやる秘書の数を増やしてくれと、是非、強く言いたいです。今、秘書に優秀な人がなりたいって言って来ないです。要は、陳情の処理みたいなことを、全く無いかといったらあるのですけど、地元に誘導するとか、就職の世話とかなんとか、そんなことばっかり裏方でやる秘書なわけですよ。そんなの、優秀な大学出て政策やろうって秘書は来ないですよ。いま欲しいのは、そういう政策をやってくれる秘書。社会保障どうするかとか、年金制度何がいいかとか、外交を戦略的にどうやっていくかとか考えようと思ったら、自分ひとりじゃ全部は出来ないですよ。全部一人で出来るだけやりますけど、そういうスタッフを揃えてくれないと。
さらに言うと、その秘書さんも、私にもし万が一何かあった場合に、そのあと路頭に迷うようなことになっちゃいけないので、シンクタンクに行ったり、大学教授に行ったり、国会図書館に行ったりって、そのキャリアアップの仕組みを、いざという時の受け皿になるようなそういうインフラ・人材の厚みを日本はもっと作らないと、政治家が政策本位での勝負が出来ないのだと思います。
工藤:今の、政党交付金を無くしてもいいという話は、私は非常に新鮮に感じて大事だと思うのですが、これは自民党と民主党で出来るのではないですか。
西村:できますよ。是非これは若手で提案して、賛同していただきたい。
平:人件費を払ってくれればいい。
梅村:僕も、政党交付金の使い道を考えた方がいいと思うのですよ。もちろんあれは党に来て、それが分配されるのだけれど。
西村:党にだいぶピンハネされますけれどね。
梅村:正直に言えばね、選挙対策に使われてしまっているのですよ。これは、議員側の意識もあるのだけれど。それは人材育成だったり、さっきのスタッフの部分であったり、そういう機能強化に本来回されなければいけないのが、人で頭で割って、各総支部に入れられていく。だから僕は、政党交付金の使い道のことは、それこそ超党派できちんと議論してね、整理することが必要だと思います。
国家全体をマクロの視点でマネジメントする司令塔が不在
平:何故、問題解決できないか。そこのお話をしたいと思うのですが、議員になって良く分かったのは、各分野の専門家がいるのですけれど、マクロでみている人がいないんですよ。マクロで経営を見ている人が。国会議員というのは取締役なので、経営を見ないといけない。経営者で言えば、損益計算書と貸借対照表と資金繰りを見ないといけない。その観点で、国家のマネジメントを見ている議員がほとんどいないし、出来る人材もいない。それは経営をしたことが無いし、世襲も多いし、役所から来た人も多いから。さっきも言ったように、経営者は馬鹿にしている。え、お前政治家になるの?馬鹿じゃないの?と。そういう風土もあり、人材がいない。これはさっきの話、公募にもかかってきますけど、そういう人材をしっかり入れたうえで、ビジョンもあってリアリティもある政策パッケージをちゃんとマニフェストで出すと。今マクロの指令塔が無いのですよね。歳入歳出は財務省が見ていますけど、経済成長は他が見ていて、金融は金融で中央銀行がやっていて、全体の処方箋を書く司令塔が無いし、それを自分の仕事と思っている政治家も少ないのです。
工藤:今の話なのですけれど、それは10年前に言われるなら私も分かるのですよ。ただ、ここまで危機目前で、それは具体的に何を作ればいいのですか。
平:経済財政諮問会議で、あの時は機能していたんです。小泉さん、中央銀行がいて、竹中さんが事務局をやって。で、そのあと、福田さん、麻生さんになって、やはり人が入れ替わってぐちゃぐちゃになって、あれが格差を生んだからけしからん、ということで今無くなって、マクロな司令塔が今ないのですよ。だから仕組みも大事だし、そこに充てる人材も大事なんだけど、マクロな司令塔はどこの国だってあるんですよ。日本にはない。
工藤:なるほど。どうですか。
梅村:政策の決定過程をきちっと整理することは、僕はものすごく重要だと思っています。これは野田さん個人の責任ではなくて、全体的に今、会議を作り過ぎています。今回も何かできましたね、今日の新聞にもありましたが。
工藤:でも、昔よりは減ったよね。
平:新たに作ったんですよ。
梅村:だから例えば今度、行政刷新会議というのがどういう扱いになるのですか、と。ちょっと変わりますよね、また。だから、そういうところの整理をやっていくということを、野田さんはやらないと会議ばっかり増えていく形になります。
民主党政権は国家を運営する自信があるのか
工藤:率直に聞きたいのですけれど、民主党政権は国家を運営する自信はありますか?というのは、あまりにもいろいろなところに問題があって、出来ないっていうことはありえますよね。つまり、任されたけどやっぱり出来なかった、それとも、出来るために努力したら、何か改善するっている目途があるのか、どうなのでしょうか。
梅村:現状において、運営が出来る出来ないというよりも、今持っている日本のパワーを半減させるというか、せっかくの力をダムのように堰き止めている感はあります。
西村:率直ですね。
平:その通りだ。
梅村:日本のパワー自体が弱っているのかというと、確かに全盛期に比べれば、色々なデータは劣っているのですけど、僕はそこをきちっとしたい。
西村:ここで見るとね、民主党のお二人もそうですし、それぞれは良いのですよ。
工藤:結構、魅力的ですよね。
西村:それで、超党派でいろいろなことやって。去年の再生可能エネルギーも、民主党単独でやっていたのですよ。
工藤:民主党でやっていたのにね。
西村:それを超党派で、うまく自公民でまとめて成案させて、そういう例はいっぱいあるわけですよ。だから、実際に詰めて議論するとちゃんと出来るんですけど、全体として、意思決定がどうなっているのかってあるし、なかなか方向性が出てこない。消費税だって、早く出してくれればですね、特別委員会作って、我々だって協議は逃げませんよ。事前の協議じゃなくて、それは民主党は案まで作って委員会でやればいいのですから、これは早くやった方がいいですよ。
工藤:事前ってまだ出してないんですか。
西村:出してないですよ。法案出てこないですから。党内まとめてから持って来いという話です。
工藤:それは早く出さなきゃいけないですね。ダメなんですか。
森山:早く出すべきです。
梅村:早く出した方がいいと思います。
工藤:早く出せばいいじゃない、ぽんと投げれば。
森山:年末に言ったのが、議員定数の削減と、公務員の総人件費と、これを出して、議論している中で消費税の法案も年度内を目途に出していくという、こういう話で。
平:これもリアリティが無くて、消費税上げて財政再建とか社会保障とか持続可能性を高めましょうね、と。その中で、公務員減らす、国会議員減らすのもいいけど、民主党政権になってですよ、復興財源を別にして、アベレージで歳出が年10兆円増えちゃっているわけですよ。ということは、一円も回らないですよ。だから、なんというか、リアリティの、経営議論のベースが全く出来ていないですよね。
工藤:さっき自民党は、民主党があまりにもダメなので中だるみしてしまったと。では、自民党は消費税を含めて、単純にわかるじゃないですか。一体改革で見てね、今5%がそれでは間に合わないし。自民党は、プライマリーバランスの2020年というのは同じ考えですか。
西村:もともと我々はそれを出していたわけですから。
工藤:すると、それから逆算すると、ある程度もうわかりますよね。
西村:もちろん社会保障をどういう制度設計にするかっていうのはありますよ。経済全体の成長率を見て、どう対応するかもありますけど。
平:マクロの歳出削減をしなくてはいけない。だって10兆円増えちゃったんだから。
梅村:だからやっぱりアセスメントをしないといけないのですよね。問題点があって、データがあって。このデータをどう解釈するかということを言ったうえで、消費税は不退転だって話にしないと。
平:データも各省がばらばらのデータを出すので、例えば韓国の議会はちゃんと整合性をつける事務局があるし、イギリスはイギリスで、ベースになる前提条件を横並びに合わせましょうってところがあるんだけど、日本はバラバラでやっているわけですよ。だから、理性的な、数字をベースにした議論が全然できないんですよ。そこはしっかりやってもらわないと。
工藤:消費税は自民党の考えがあるわけですよね。15年20年に対して。制度設計については、たぶん意見が違う可能性があるのですが。
梅村:僕らから言えば、谷垣さんが、全部持って来いと、相談乗ってやるぞと言われる方がはっきり言って大変なわけですよ。だけど、そうは言わずに、拒否とは言わないけど、社会保障の姿がどうだとか言われるとね。
平:それは悩ましい話でね、税と社会保障でやれと言われてもね、そうじゃないんですよ。歳入と歳出を見なきゃいけないし、さらに言えば、財政と経済を見ないといけないんですよ。そこの、税と社会保障だけ抜き出したのは、政治的に抜き出しただけなんですよ。でも他で整合性がとれなければ、そこだけが正しいからといって乗ったら、詐欺マニフェストの片棒を担ぐことになってしまうわけですよ。それは乗れませんよ。
工藤:たぶん、ある程度の一致できるところで決めた上で、国民に信を問う方がいいと思います。だって無理ですから。全然何をやっているか、国民は分からない状況になっていて、ほとんど絶望に近いと思っている。
西村:何度も言いますけど、我々は逃げませんから。本当に議論をしようじゃないですか、ということなんですよね。だから早く案をまとめて、それがどこまでの案かわかりませんけど、とにかく早くまとめて出してくれれば、我々、おかしいところはおかしいと言いますし、足りないところは足りないと言います。それをちゃんと議論すればいいじゃないですか、と。まとめるにえらく時間がかかっているのかわからないんですけど、中でごちゃごちゃやられているので、早く議論しましょうということです。
工藤:その状況認識でよろしいんですか。
梅村:それは間違いないです。我々も早く決めるっていうことが大事で、それを出していく努力をしなければいけません。
工藤:わかりました。昔、石破さんとかに言われたのですけど、私は政治の世界の中で政界再編みたいな、政策軸をベースにした動きがある程度出来るのかな、と思ったのだけど、たぶん政治の中だけでは難しいだろうと。有権者が何かのアクション起こしていかなければ、ということがあります。
西村:有権者のアクションの1つは、大阪の維新の会に表れたあの結果だと思います。選挙を経てのいろいろなサインはあると思いますけどね。
若い政治家は本当に政党を変えることができるのか
工藤:では、最後の質問なんですが、皆さんは、今の党にいて失敗したなと、何をやってもこの政党じゃ無理だ、という感じですか。それともこの党を今、変えるしかない、という認識ですかね。一人一人お願いします。
平:私は渡辺喜美さんが出ていく時に、出るべきじゃないと、残って自民党を変えるべきだとずっと言ってきた方なので、今の政党の中で、小選挙区制度の下で一翼を担う政党で、自民党が一番、まぁまだ比較ではマシで、自民党を乗っ取って変えてくというのが一番リアリティのある処方箋かなと思います。
工藤:はい。では次に森山さん。
森山:政権交代で、という話で突き進んでいって、その後、苦しんでますけれども、おっしゃったように二大政党ある中で両方とも良くならないと、これは課題解決に繋がらないと。
工藤:では、やっぱり逃げようとか思っていないのですね。まだ無理だとは思っていないのですね。
森山:それは、ここ2年半の中で、最初は議論さえできない状態からスタートしたわけですから。中身も全然見えない状態からスタートしたところが、かなり、議論自体はできるようになって来ていますし、政策で議論できるようになってきています。
工藤:はい。では次は西村さん。
西村: 私は自民党が、やっぱり一番今の政党の中でまともな政党だと思いますし、これまで若い世代が、ニューリーダーとか次の世代が力を付けて、ある意味乗っ取ってきたわけですから、それが今度、我々の世代に期待されているのだと思いますので、それをどういう形で力を蓄えてやるか、というところに来ているのだと思うのですね。もう一つは、瑞々しさ、新鮮さが、自民党に無くなってきていると思うのです。これは2世が多い、官僚出身が多い、私もそうですが、県会議員出身・地方議員出身、この3つで大体8割、9割ですよ。だから、平さんみたいな民間の人も入ったらいいと思うし、NPOから来てもらったらいいと思うし、女性ももっと増えたらいいと思うし、何もわからない芸能人やスポーツ選手が入るよりかは、そういう出来る人たちが入った方がいいですよ。色々な対応の中で、もう少し自民党は変わって、若い世代が力を付けていけば、私はまだ変わるチャンスはあると思うので、最後まで頑張りたいと思います。
工藤:はい。梅村さんどうですか。
一人ひとりの政治家が、有権者の期待に応えて成長を続けることに尽きる
梅村:私の周りだけなのかもしれないですけど、今、有権者の中で、政党を応援してる方って、本当に少ないと思います。党員というものも、本当に自民党さんも激減されていますしね。そういう意味から言えば、逃げるとかどうだとかいうのではなくて、私は政治家個人個人が自分の能力を伸ばして、価値観を磨いて、知識を増やして、闘う術をつけると。この努力を一人一人がやっていくということが重要であって、政党はどうしますかというのは結果だと思うのですね。周りで「民主党だからお前を応援する、自民党だからダメだ」と言われる方が本当に少なくなっているんじゃないかな、と。そういう意味から言えば、今日は政党の話でしたけど、やっぱり一人一人の政治家が、有権者の期待に応えて、成長を続けていく。僕はこのことに尽きるのだと、そう思います。
工藤:今日は政党の問題について、かなり絞って議論したのですが、私たち言論NPOはまさに政策の評価をしていて、本当は政策の議論がいろいろあるのですが、ただ、このままいったら日本の政党は、ほとんど支持を得なくなるような岐路に来ているな、とわかるんですね。答えを出さなければいけない局面が迫っているので、私たちは政策の議論は何でもやりますので、また皆さんと一緒に、色々な形で何かできないかと思っております。
みなさん、今日はありがとうございました。
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